Research Highlights
ミニチュア反応器:グラフェンの液体ビー玉
Nature Nanotechnology 2015, 315 doi: 10.1038/nnano.2015.46
固体の粒子に液滴を入れることで、ナノコンポジットの合成や光化学重合などさまざまなプロセスを実行できるミニチュア反応器を作ることができる。しかし、こうした「液体ビー玉」反応器の用途は、加熱するのが難しいため、室温反応に限定されていることが多い。南洋理工大学、復旦大学、シンガポール材料研究・工学研究所、ブルネイ・ダルサラーム大学(ブルネイ)のX Y Lingたちは今回、グラフェンを用いて加熱できる液体ビー玉反応器を作成できることを示している。
Lingたちは、マイクロリットルの水滴を粉状にしたグラフェン・ナノプレートレットを敷き詰めたものの上で転がして、グラフェン液体ビー玉を作った。次に、このビー玉にレーザーを照射すると、グラフェンの好ましい光熱特性のおかげで、ミニチュア反応器を瞬時に加熱できた。そして、レーザー出力を調整することで、封入された水の温度を21℃~74℃の間で変化させることができた。
Lingたちは、この反応器の能力を例証するため、メチレンブルーの分解反応の反応速度を変化させることができ、光熱加熱をしない反応の12倍という高い反応速度を実現できたことを示している。