Research Highlights

電子デバイス:酸化物界面を制御する

Nature Nanotechnology 2015, 415 doi: 10.1038/nnano.2015.83

約10年前に、LaAlO3とSrTiO3という2つの絶縁体の界面に金属層が形成されることが観測されて以来、磁性や超伝導性を含むさまざまな興味深い現象を酸化物界面は示してきた。ナノメートルの寸法のデバイスの実現に向けてさまざまな取り組みがこれまでなされている。こうした取り組みの大半は、伝導チャネルを囲む物質を、例えば酸化によって、変化させることに基づいている。このような方法は、うまく機能するが汎用性がない。デルフト工科大学のS GoswamiとA Cavigliaたちは今回、適切に設計した金属ゲートをLaAlO3/SrTiO3界面の表面に蒸着するだけで、品質の高いデバイスが得られることを実証している。

GoswamiとCavigliaたちは、寸法がナノメートルの単一ゲートを蒸着して、ゲートの下の界面領域の伝導率を制御できることを示した。次に、2つの細いゲートを、狭い隙間を間に置いて隣り合わせに配置した分割ゲート構成を調べた。最後に、低温(約50 mK)で電子伝導率を測定することによって、超伝導体から絶縁体への転移を生じさせることができ、ジョセフソントンネル効果の証拠を観測した。こうした観測結果は意外なものではないが、さまざまな配置のナノデバイスを作る手法が実証されたことから、この手法は重要なツールとなるかもしれない。例えば、この手法によって、ナノスケールでの磁性や超伝導性の基礎研究に使えるトランジスターを開発できる可能性がある。

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