Research Highlights

走査型プローブ顕微鏡:単一原子にズームイン

Nature Nanotechnology 2015, 515 doi: 10.1038/nnano.2015.100

ここ数年で、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、顕微鏡ティップの端に一酸化炭素分子を付けることで、有機分子がサブ分子分解能で画像化されるようになった。さらに、この方法によって、例えば、さまざまな化学結合を識別したり、反応によって生じた単一分子の結合の変化を追跡したりすることもできるようになった。今回、レーゲンスブルク大学とルートヴィッヒ・マクシミリアン大学のF Giessiblたちは、この手法を用いて、金属原子や金属クラスターをサブ原子分解能で画像化できることを示している。

Giessiblたちはまず、銅表面に吸着した単一の銅原子と鉄原子を調べた。すると原子は、標準的なAFM画像に予想される単一の突出部ではなく、ドーナツ型の構造のように見えた。これは原子の電子構造に起因するもので、特に原子の中心部における静電引力と原子端部のパウリ反発力の結果であると彼らは示唆している。さらに、このドーナツ型の画像は、下にある表面構造に対する原子の結合対称性に依存していた。この方法を用いて鉄原子の小さなクラスターを画像化すると、その構造は連結したドーナツのように見え、個々の原子を識別できた。

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