Research Highlights

フォトニックメタ構造体:伸ばして色を変える

Nature Nanotechnology 2015, 515 doi: 10.1038/nnano.2015.101

光は、入射光の波長と同程度の間隔で離れた周期的な形状でできた表面と相互作用すると、その構成色に分かれる。この現象は回折格子で一般的に使われており、外部の観測者には、回折格子に対する相対的な位置に応じて異なる色が見える。カリフォルニア大学バークレー校のC Chang-Hasnainたちは今回、この原理を利用して、伸ばすと色が変わる薄くて柔軟な表示デバイスを作った。

Chang-Hasnainたちは、エッチングによってウエハーにナノメートル厚のシリコンの畝を作り、次にこれをポリマー基板に転写した。こうしてできた表面では、約1波長離れた高屈折率材料(シリコン)の畝が低屈折率の基質(ポリマー)に埋め込まれている。この独特な構造を用いると、入射光のほとんど全てのエネルギーが、単に反射されるのではなく、回折光になる。その結果、この特殊なデバイスでは、白色光を照射し一定の角度で観測した場合に、畝の間隔を変えることによって外部の観測者が見る色を変えられるようになった。Chang-Hasnainたちによる印象的な実演(https://youtu.be/ppmx-PlsiT8)では、このフォトニック材料を5%に満たない程度伸ばして、光の強さをほとんど低下させずに観測者が見る色を緑色から赤色へ変化させている。

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