Research Highlights

金属有機構造体:柔軟なレシピ

Nature Nanotechnology 2015, 615 doi: 10.1038/nnano.2015.124

金属有機構造体(MOF)は、短くて大半が硬い有機リンカーと結合して結晶性ネットワークを形成する金属イオンからなる、極めて多孔質の三次元固体である。その結果生じる多孔性と広い表面積によって、MOFはガスの分離と隔離用の最有力候補となっている。カリフォルニア大学サンディエゴ校とフロリダ大学のS Cohenたちは今回、MOFの設計に新たな柔軟性を加えた。

MOF構造の常識に挑戦して、Cohenたちは、硬い配位子の代わりに直線状の軟らかいポリマーを巧みに用いて、ポリマー– MOFハイブリッドを最終的に作り、実際に結晶質であることを示した。このポリマー配位子は、さまざまな長さのメチレンのスペーサーと芳香族ジカルボン酸の支柱を持つポリエーテルのユニットでできている。このカルボン酸は、亜鉛(II)イオンと配位結合して、架橋された多孔質の構造体を形成する。作製されたポリMOFの多孔性、表面積、疎水性は、ポリマーの分子量と亜鉛との反応温度を変えることで制御できる。ポリマー化学の観点からは、アモルファスや非多孔質の配置に伴うことが多い直線状のポリマーが、配位化学の戦略を通して多孔質の結晶性固体を形成できることを、このポリMOFは実証している。

結晶学的データによって、ポリMOFを作るには最適条件があり、この機構の詳細はまだ詳しく調べる必要があるが、最もよく機能するポリMOFの孔の大きさは7Åと9Åであり、CO2の吸収に有利なサイズであることが示された。

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