Research Highlights
ナノ粒子:液体中の3Dイメージング
Nature Nanotechnology 2015, 815 doi: 10.1038/nnano.2015.182
電子顕微鏡は、ナノ粒子の特徴を捉えるのによく使われている。しかし、電子顕微鏡の電子ビームには高真空環境が必要なため、調べる試料は一般的に固体の状態であるのに、ナノ粒子は溶液中で合成され、利用される(例えば触媒として)ことが多い。米国、オーストラリア、韓国のさまざまな研究機関に所属するP Alivisatosたちは今回、溶液中に浮遊している白金ナノ粒子の3D画像を電子顕微鏡によって作製できることを示した。
Alivisatosたちは、透過型電子顕微鏡を用いて、グラフェンシート2枚でできた液体セルに封入されたナノ粒子を調べた。液体セルのグラフェンが、極めて薄いカバーとなって試料を包んでいるため、電子顕微鏡の真空内で液体の状態が維持される。こうした構成の装置を用いて、溶液中でナノ粒子が回転している時に、個々のナノ粒子の二次元画像が多数撮影された。次に、生体分子の極低温電子顕微鏡画像を分析するために以前に開発されたアルゴリズムを用いて、これらの画像を組み合わせ、ほぼ原子レベルの分解能のナノ粒子の3D画像が再構築された。