Research Highlights

自己組織化:凍結した形

Nature Nanotechnology 2016, 116 doi: 10.1038/nnano.2015.327

ナノ構造体の合成には、トップダウン型のリソグラフィー技術からボトムアップ型の自己組織化まで、非常に多くの方法がある。しかし、こうした方法では、生物系に見られるレベルの制御と複雑さを得るのが難しく、新しい方法が常に探し求められている。ケンブリッジ大学(英国)とソフィア大学(ブルガリア)のS Smoukovたちは今回、油滴を冷却するだけで複雑な構造体を形成できることを示している。

Smoukovたちは、14から20個の炭素原子を含む直鎖アルカンの油滴を用い、この油滴を界面活性剤分子の助けを借りて水中に分散させた。この試料をゆっくりと冷却することで、一連のさまざまなマイクロスケールやナノスケールの形状、例えば、規則的な八面体、六角形の小板、三角形の小板、ついには細い線維に、球状の油滴が変化した。形成される形状は、冷却速度、油滴の最初のサイズ、用いた界面活性剤の種類に依存し、それぞれが選択的に凍結して、対応する固体構造を作る。

こうした油滴の変化は、内部相転移プロセスに起因する。具体的には、凍結前にはアルカンは、分子が長距離並進秩序を持つが長軸を中心に自由に回転する、一連の可塑性の準安定回転相を形成し、こうした回転相の薄層が油滴表面の上に形成され、観測される変化を駆動する。

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