Research Highlights
光起電力技術:自浄式太陽電池
Nature Nanotechnology 2016, 116 doi: 10.1038/nnano.2015.328
吸収層は太陽電池の中心的要素で、この層に当たる光子が多ければ多いほど、太陽電池が生成する電力が大きくなる。しかし、太陽電池本来の吸収能力が高くても低くても、太陽電池パネルの効率は、その表面に塵やほこりが積もるため、徐々に低下する。アブドラ王立科学技術大学(KAUST, サウジアラビア)と台湾国立中央大学のK-Y LaiとJ-H Heたちは今回、優れた自浄能力を示す高効率シリコン太陽電池を開発した。
LaiとHeたちは、ナノ構造化した包装ガラスでデバイスを覆うことで、太陽電池の性能と寿命を向上させた。具体的には、大きなハニカムナノウォールと極めて細いナノロッド組み合わせて、ガラス表面にナノ階層構造を作った。こうした構造の寸法は、太陽電池全体の光吸収効率を最大化するよう特別に選択された。ナノロッドは、表面反射率を低くし、太陽電池への光の浸透を促進する働きをし、ハニカム構造は、効果的な散乱中心となって、光子の吸収を高める。さらに、疎水性が極めて高いため、このナノ構造化包装ガラスは効率よく塵粒子をはじき、太陽電池の効率が徐々に低下するのを防ぐ。