Research Highlights
2D材料:ハイブリッド界面
Nature Nanotechnology 2016, 216 doi: 10.1038/nnano.2016.13
ファンデルワールス・ヘテロ構造は、グラフェンと遷移金属ダイカルコゲナイドなどの2種の低次元物質が界面で接することによって形成され、新しいデバイス機能を開発するための非常に優れた実験プラットフォームをもたらす。有機半導体をこうしたナノ構造に組み込めば、構造的構成要素にはない性質が現れる可能性がある。ノースウェスタン大学(米国)のM Hersamたちは今回、ペンタセンとMoS2でできたヘテロ接合を調べて、ファンデルワールス有機無機界面の潜在的な利点を探究している。
Hersamたちは、ゲートで調整できるダイオードをペンタセンとMoS2のヘテロ接合から作り、その光電子応答と電荷輸送を調べた。その結果、このデバイスの伝達曲線が、非対称の非両極性挙動を示すことが分かった。こうした挙動は、無機ファンデルワールス・ヘテロ構造の特徴ではなく、エレクトロニクスへの応用に有利なものとなる可能性がある。さらに、ハイブリッド界面におけるエネルギーバンド配列がII型であるため、太陽電池として機能する可能性がある。しかし、二次元のMoS2層内での吸収が小さく、横型のデバイス構造は不利であるため、その電力効率は低い。それにもかかわらず、今回の結果は、太陽電池のアクセプターとして遷移金属ダイカルコゲナイドを利用できる可能性があることを示唆している。