Research Highlights

ブラウン運動:テザーでくっついた粒子

Nature Nanotechnology 2016, 416 doi: 10.1038/nnano.2016.60

分子テザーによって表面に付着した分子は、ブラウン運動の影響下で動き回る。理想的な系では、こうした粒子は球対称の円盤状のパターンに従って動くと思われる。しかし、実験ではさまざまなパターンが現れ、その原因はほとんど解明されていない。アイントホーヘン工科大学(オランダ)のE Visserたちは今回、運動パターン解析の手法を用いて、一見すると不規則なこのふるまいに光を当てている。

Visserたちは、短い(40 nm)DNAテザーを用いてコロイド粒子をガラス表面に付着させた。次に、高い空間精度でこの粒子を光学的に追跡するとともに、モンテカルロシミュレーションを用いて、特定の粒子–テザー–表面系と運動パターンを対応させた。この分析によって、例えば、テザーの付着部位のそばに小さな突起があると、釣り鐘状のパターンが現れることが示された。つまり、パターンの中心部で表面から最も遠くなるため、表面と相互作用せずに自由に動き回れるので、コロイド粒子が中心部のあたりを動くことが多くなるのである。逆に、突起が大きければ、粒子は片側に引っ張られ中心部の近くにいる時間が短くなるので、リング状のパターンが現れる。また、テザーが2つ付いた粒子では筋状の、3つ付いた粒子では三角形状の非球対称パターンが現れる。さらに、Visserたちは、バイオセンシング分析を用いて、標的分析物の存在下での、1つ以上のテザーで表面に付着した官能化粒子のふるまいも分析している。

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