Research Highlights
原子間力顕微鏡:基準を定める
Nature Nanotechnology 2016, 716 doi: 10.1038/nnano.2016.127
原子間力顕微鏡(AFM)のカンチレバーの正確な較正は、ロバストな力測定に不可欠である。AFMのカンチレバーのねじりばね定数を較正する方法は数多くある。しかし、こうした較正は国際基準を用いて行われていないため、世界中のAFMラボで得られたデータを比較する簡単な方法はない。今回、メルボルン大学(オーストラリア)などのJ Saderたちは、カンチレバーの較正を標準化するオンラインツールを開発している。
この国際較正イニシアチブ(Global Calibration Initiative: GCI)は、AFMユーザーが力測定を比較するオンラインツール(sadermethod.org)である。ユーザーは、特定のカンチレバーのばね定数、共振周波数、Q値をAFMの熱的方法で測定した結果をアップロードする。次に、そうしたデータを平均して、測定されたばね定数の不確かさを減らすのである。この構想を説明するために、5つのAFMラボで得られたデータを比較したところ、個々のカンチレバーに大きなばらつきが見られた。しかし、得られたデータセットを平均すると、GCIを用いて、一連の未知のカンチレバーの流体力学的機能が正確に決められ、較正できるようになった。データセットを拡大すれば、この較正法はさらに正確になり、どんな形状のカンチレバーの較正も可能になるはずである。