Research Highlights

触媒作用:タンデム反応

Nature Nanotechnology 2016, 716 doi: 10.1038/nnano.2016.129

多くの逐次化学反応は、化学的に相いれない試薬や触媒を必要とするため、同じ容器内で行うことができない。しかし、金属有機構造体などの特定の多孔質基体を用いてほかの方法では両立しない触媒基を空間的に分離し続ける方法が考案され、ワンポット直交反応がいくつか報告されている。今回、ハウメ1世大学(スペイン)のB Escuderとデルフト工科大学(オランダ)のJ van Eschたちは、この方法を超分子ヒドロゲルに拡張している。

著者たちは、酸触媒によってアセタールを脱保護し、続いて塩基触媒によってアルドール縮合を行うというタンデム反応を目標とした。この2つの触媒基は、カルボン酸とキラルアミンで、2つの異なるヒドロゲル化剤の構造モチーフにそれぞれが組み込まれている。溶液中では、こうしたヒドロゲル化剤が集合して、名目上は両立しない酸性反応と塩基性反応が互いに干渉しないでタンデムに進行するように、空間的に分離したネットワークを形成する。Escuderたちは、保護されたアセタールとケトンが基質として存在する場合に、高いエナンチオ選択性と85%の収率でアルドール縮合物が最終的に得られたことを報告している。

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