Research Highlights
オプトメカニクス:反動を使って測定
Nature Nanotechnology 2016, 816 doi: 10.1038/nnano.2016.147
光学的にトラップされたナノ粒子は、少なくとも2種類の相互作用を受ける。近傍環境のガス粒子との衝突と、トラッピング場の光子との衝突である。こうした相互作用は両方とも、こうした系の測定における雑音の一因となる。他のガス粒子との衝突は超高真空条件下で最小にできるが、個々の光子による反動は、こうした測定の精度の基本的な限界になる。つまり、レーザーのエネルギーを小さくすれば、雑音は減るが、粒子位置の不確定性も増大し、レーザーのエネルギーを大きくすれば、その逆が観測される。今回、チューリヒ工科大学(スイス)、ウィーン大学(オーストリア)、スペインのICFOのL Novotnyたちは、 光子のショット雑音の寄与を直接測定できる実験について報告している。
直径が約50 nmのナノ粒子が、超高真空下の光トラップに閉じ込められた。この粒子は、mK温度まで冷却され、定常状態条件下で保持された。こうした条件下では、レーザー場との相互作用だけが加熱源になる。Novotnyたちは、冷却機構を止めた直後に、浮揚した粒子の軌道(どの程度加熱されたか示す目安)を観察することによって、この相互作用を直接測定することができた。その結果、光子のショット雑音が毎秒10,000振動子量子の速度でナノ粒子を加熱することが見いだされた。この値によって、浮揚ナノ粒子測定の感度の下限が決まるのである。