Research Highlights

グラフェン:電子1つでプラズモンを1つ作る

Nature Nanotechnology 2017, 1017 doi: 10.1038/nnano.2017.216

ナノスケールでの光物質相互作用は、プラズモンを励起することによって増強されうる。特に、グラフェンプラズモンは、ドーピングレベルや誘電体との相互作用に依存して調整できる特性を示す。しかし、グラフェンプラズモンは中赤外領域であり、ドーピングレベルを高くし、横方向に閉じ込めることによって、波長を可視方向に短くできるが、遠方場光とグラフェンの結合はまだ弱い。今回、de VegaとGarcía de Abajoは、光を全く必要とせずにグラフェンに可視プラズモンを生成する方法を提案している。プラズモンは、光の代わりにトンネル電子によって生成される。

著者たちは、グラフェン–六方晶窒化ボロン–グラフェン・サンドイッチ構造を検討している。hBN層は、厚さが1 nmで、2つのグラフェン単層は、フェルミエネルギーが異なる2枚のグラフェンシートの間にバイアスをかけると、ギャップを通してトンネル電子が生じる。相互作用(高バイアス)を通して散逸するのではなく、伝搬する光プラズモンの励起を通してエネルギーを失う都合のよい電圧窓が見いだされた。計算によると、フェルミエネルギーが0.5 eVと1.0 eVのグラフェン層を用いると、1 V nm-1以下のバイアスで電子からプラズモンへの収率が1に達し得る。このような方法で作製された、光子の媒介を必要としないデバイスを逆に使って、グラフェンプラズモンの特性の変化を電圧情報に変換して読み出すセンサーにすることもできる。

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