Research Highlights
画像化:ペナンブラを探す
Nature Nanotechnology 2017, 1217 doi: 10.1038/nnano.2017.238
脳卒中の直後の時期に、血流がより急激に低下する虚血中心部でニューロンの深刻な欠損が生じる。中心部の外側のいわゆる虚血ペナンブラでは、脳組織が数時間生き残っており、再かん流療法によって迅速に介入すれば、回復が可能である。脳血流のモニターとペナンブラの特定には、コンピューター断層撮影法と磁気共鳴画像化法(MRI)が一般に用いられているが、コンピューター断層撮影法は患者を放射線にさらす必要があり、MRIはアーチファクトに敏感で定量測定を行いにくい。
今回Ludewigたちは、磁性粒子画像化法(MPI)を用いて、急性脳卒中マウスモデルの脳かん流を追跡している。MPIは、超常磁性酸化鉄ナノ粒子(SPIO)の分布を定量的に画像化する断層撮影法で、放射線を使わず、空間分解能と時間分解能が高い。著者たちは、前臨床試験用にMPIスキャナーを最適化し、MPIによって、健常な動物の脳血流をリアルタイムで観察でき、大脳動脈閉塞を持つマウスにおける数立方ミリメートルの虚血性脳卒中を検出できることを示している。彼らは、SPIOの単回投与を用いて、閉塞を画像化し、脳血管系の解剖的情報を取得し、動脈血管と静脈血管を識別している。
従来のMRIと比べて、小動物ではMPIは診断時間が短く、時間分解能が高い。この手法の感度と毒性はより大きなモデルでさらに確認する必要があるが、今回の結果は、この手法が脳卒中後の血管組織と脳組織の健全性を迅速に評価する臨床的手段となり得る可能性を示唆している。