Research Highlights
メカノトランスダクション:金でできたナノプローブ
Nature Nanotechnology 2017, 217 doi: 10.1038/nnano.2017.10
メカノトランスダクションでは、細胞表面で感知された機械的刺激が、細胞骨格を通して伝搬され、生物化学的シグナルに変換されて、細胞活動を変化させる。細胞表面の特定の位置に加えられた力を定量化するために、原子間力顕微鏡や光ピンセットなどの手法が用いられている。今回、Xiongたちは、細胞表面のさまざまな部位における力のトランスダクション事象を同時に測定できるプラズモンナノ機械プローブについて報告している。
プラズモンナノスプリングと名付けられたこのプローブは、細胞の機械的刺激をスペクトル出力に変換する。このプローブは2つの金ナノ粒子からなり、2つのナノ粒子のうち1つは細胞表面に、もう1つはガラス基板に付着していて、ポリエチレングリコールの弾性鎖で隔てられている。この2つのナノ粒子によって、ナノ粒子の間隔に依存するスペクトル効果が生じる。そしてこの効果は、細胞表面に付着したナノ粒子が受ける力の関数になる。Xiongたちは、H2O2に曝して活性酸素種を生成した後、このナノスプリングを用いて、ヒーラ細胞のいくつかの部位の機械的応答のダイナミクスをマッピングした。その結果は、細胞骨格のアクチンフィラメントの変化を通して、活性酸素種がメカノトランスダクションシグナリング経路を誘発することを示唆している。