Research Highlights

生物由来フォトニクス:左円偏光と右円偏光の両方を反射するセルロース

Nature Nanotechnology 2017, 317 doi: 10.1038/nnano.2017.36

セルロースのナノ結晶膜は、左円偏光した(LCP)光のみを選択的に反射するが、右円偏光した(RCP)光には透明である。この効果は、キラルなセルロースナノロッドの特別な自己集合様式に起因する。今回Fernandesたちは、甲虫のキンイロコガネ(Plusiotis resplendens)のクチクラに着想を得て、こうしたキラルなセルロースナノ結晶がLCP光とRCP光の両方を反射できる新しいフォトニック構造体を設計している。

このフォトニック構造体は、4–シアノ–4'–ペンチルビフェニルでできた非等方的なネマチック液晶層を、ピッチが似た2つの左手コレステリックナノセルロースドメインの間の微小間隙に挟み込んで作られている。ネマチック液晶層が半波長遅延板となって、RCP光をLCP光に、またLCP光をRCP光に変換する。このようにして、RCP光の効率の高い反射も可能になる。

Fernandesたちは、非等方的な液晶層がネマチックから等方性へ可逆的に相転移するため、RCP光の反射を、温度を変えたり電場をかけたりして制御できることも示している。

例えば、ネマチック–等方相転移温度以上の温度では、遅延板効果が失われるため、全てのRCP光が透過する(無色反射)が、LCP光は依然として反射される。しかし、材料の屈折率が小さくなり、コレステリックキラル相のピッチが大きくなるため、より長い波長の反射率が高くなる。

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