Research Highlights
ナノ織物:ポリマーの織り方
Nature Nanotechnology 2017, 317 doi: 10.1038/nnano.2017.39
一次元の繊維が織り合わされて二次元のシートを形成する織物構造体のボトムアップ合成は、ポリマー化学における現在の課題の1つである。今回Wangたちは、長さ約200 nmのポリマー繊維でできた自立織物について報告している。
まず、Wangたちは、交点に銅(I)原子があり、辺にベンゼン環を中央に持つ有機リンカーがある正方配列の平面金属有機構造体から成る層状の鋳型構造体を作った。このベンゼン環は、正方形の中心に向いていて、端部に反応性のアルキン部がある別の2つの基にも共有されている。鋳型構造体は、こうした層と、アルキンが不活性なメチルに置き換えられていることのみが異なる類似した構成の犠牲層が交互に積み重なっている。
Wangたちは、酸化的アセチレン結合反応によって、隣接するアルキンを結合して、織り合わされた繊維を作っている。正方形の内側に向いている4つのアルキンのうち、平行したリンカーに付いているもののみが互いに反応でき、異なる層の部分間の反応が起こらないことが、立体構造の論拠から分かっている。一度反応が起こると、反応していないアルキン対の間の二番目の反応は、既にアルキンが結合している面の上か下のどちらかでのみ起こる。この化学反応を有機金属構造体全体に拡張すると、ランダムに織り合わされたポリマー繊維が作られる。最後に、銅原子と犠牲層が容易に取り除かれて、自立する織物が単離される。