Research Highlights
神経形態学的計算:次元を下げる
Nature Nanotechnology 2017, 617 doi: 10.1038/nnano.2017.119
次元の削減は、機械学習アルゴリズムの基本的な側面である。これには、特徴抽出と呼ばれる過程で高次元の多変量入力データを少数の基本的な要素の小さな組み合わせで近似することが含まれており、より効率のよい情報記憶と情報分析につながる。特徴抽出は、大きなデータセットに基づく予測モデリングに広い影響を及ぼすが、計算負荷が大きい。
今回、Choiたちは、神経形態学的ハードウェアアーキテクチャーを効率的に利用して、特徴抽出アルゴリズムの線形版である主成分分析を実行したことを報告している。著者たちは、NiCr/Pd電極とTa/Pd電極に挟まれた厚さ10 nmのTa2O5スイッチング層を用いたメモリスターでできた、9×2クロスバーアレイを作製した。このメモリスターはアナログで、Ta2O5の酸素空孔分布に影響を及ぼす電圧パルスを印加して、抵抗状態を逐次的に調節できる。
メモリスターアレイの9つの列のそれぞれに、電圧パルスが入力される。細胞の特異的な質量特性を個々のパルスの持続時間にエンコードし、乳がん細胞データベースに基づいて、50個の良性細胞と50個の悪性細胞に関連する100組の9入力セットを用いて初期訓練が行われた。次に、訓練したネットワークによって、約600組の分類されていないデータセットを分析できた。学習した特徴に基づくクラスター分析は、アレイの教師なし学習過程によって、事例の約97%の良性細胞と悪性細胞の分類に成功したことを示している。