Research Highlights

環状ポリマー:自己組織化の経路

Nature Nanotechnology 2017, 617 doi: 10.1038/nnano.2017.121

環状ポリマーには末端基がないため、その物理化学的特性は対応する線状ポリマーとは本質的に異なる。しかし、環状ポリマーの実現には大きな努力を要することが多いため、少数しか報告されていない。今回、青木大輔たちは、定量的環化収率で環状ポリマーを合成する経路を考案している。

環状ポリマーの作製には、線状ポリマーの環化と環状分子の環拡大という、2つの主な戦略がある。しかし、1つ目の戦略は、末端と末端を結合する際の選択性が低く、2つ目の戦略は、複数の合成段階と生成段階を必要とすることが多い。青木たちは、アンモニウム基を含み、末端がクラウンエーテル大員環の短い線状オリゴマーを出発点とすることを提案している。2つのそうした分子が定量的に自己集合して、c2連鎖を形成する。この連鎖では、クラウンエーテルとアンモニウム基の相互作用によって、オリゴマーがクラウンエーテルの内側を通っている。次に、リビング重合反応によって、当初のオリゴマーを所望の長さまで伸ばす。最後に、ウレタン部を持つ大きな末端基を導入して、反応を終わらせる。この時点で、アンモニウム基が酸化されてクラウンエーテルを解放し、クラウンエーテルがウレタン基まですべっていって、最終的な環状ポリマーができる。青木たちは、このポリマーのグラムスケールの合成を収率72%で実証している。

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