Research Highlights

超伝導:巻かれた超伝導体

Nature Nanotechnology 2018, 1118 doi: 10.1038/s41565-018-0309-6

低次元の超伝導は、バルクの超伝導体にはない影響を受けやすい。少し意外なことに、F Qinたちは今回、超伝導WS2ナノチューブの臨界温度が、直径が小さくなるとともに低下することを示している。

著者たちは、個々の多層WS2ナノチューブにカリウムを挿入して超伝導体にし、このナノチューブの臨界温度を測定した。さらに、このナノチューブを通るコンダクタンスも、磁場の関数として測定した。ナノチューブに平行に磁場をかけると、ナノチューブの円周に沿って超伝導電流が流れ、量子干渉が生じる。この干渉によって、磁場の増大に伴う抵抗の振動が生じ、ナノチューブの有効直径の測定が可能になる。臨界温度は、ナノチューブの壁の厚さには依存しないようであるが、直径の逆数に対して線形に低下する。これは意外な結果である。つまり、カーボンナノチューブでは、直径が小さくなると電子フォノン結合が大きくなると理論から予測され、臨界温度が高くなるはずなのである。Qinたちは、WS2で観測された臨界温度の低下は、ナノチューブの格子ひずみと関連があり、この格子ひずみが通常とは異なる電子フォノン相互作用をもたらしている可能性があると推測している。

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