Research Highlights
水処理:廃水の浄化と脱塩
Nature Nanotechnology 2018, 118 doi: 10.1038/s41565-017-0057-z
エネルギーと水は、人の生活の2本の柱である。社会は、新しいエネルギー源やきれいで新鮮な水を得ようと努めている。最近、それぞれを別々に得ようとするのではなく、排水処理と脱塩を結び付け、排水からエネルギーを得て海水から塩が除去された。しかし、微生物燃料電池を用いる一般的な排水処理法は、pHや塩分に敏感な微生物を利用している。
今回、Kimたちは、光によって廃水の浄化、燃料の生成、海水の脱塩を行う非生物的な水とエネルギーのネクサスについて報告している。著者たちは、紫外光を吸収し光化学作用を起こすために、水素処理された二酸化チタンナノロッドからなる光アノードを作製している。水素処理によって、材料の導電率とナノトッドの基質酸化能力が高まり、光電気化学性能が向上した。ナノロッド電極は、塩化物を酸化して、尿素を分解するラジカルを生成すると同時に、過剰な陽子と電子から水素ガス(H2)を生成できた。
Kimたちは、この太陽光を利用する水とエネルギーのネクサスを検証するため、イオン選択膜に挟まれた海水を含むイオン室でアノード区画とカソード区画を隔てた、3室デバイスを作った。塩化物が海水からアノードへ拡散し、ナノロッドの光化学作用によって消費されるとともに、ナトリウムイオンがカソード区画に拡散して電解液の導電率とH2生成活性を高めた。総合的には、この光電極によって、12時間以内に尿素を完全に除去でき、H2生成のファラデー収率80%で海水の塩を50%除去できた。