Research Highlights
多孔質材料:ネジのように吸い込まれる二酸化炭素
Nature Nanotechnology 2018, 1218 doi: 10.1038/s41565-018-0332-7
規定のサイズと化学的機能を持つよう作られた分子構成要素とその細孔から、永続的な多孔質材料を設計できる。こうした材料は、ガスの収着や分離の用途に用いられているが、定量的に分離するのに十分高い選択性の実現は、共通した課題である。今回Xingたちは、窒素(N2)よりも二酸化炭素(CO2)に高い選択性を示し、ある種の膜透過チャネルを通り抜ける小分子に類似した機構によってCO2分子を吸い上げることができる多孔質材料について報告している。
まず著者たちは、テトラスルホン酸アニオンとジアミニウムカチオンからなる分子を用いて、多孔質材料を作った。この多孔質材料のチャネルは、サブナノメートルサイズで、CO2の収着に最適である。細孔の内側に面しているイオン性構成要素の正電荷と負電荷によって、CO2分子の電気双極子との強い静電相互作用が生じる。その結果、この材料のCO2に対する選択性が、室温でN2の500倍以上になった。興味深いことに、Xingたちは、チャネルを通るCO2透過のダイナミクスも解明できた。彼らは、温度依存性の13C核磁気共鳴を用いて、その場でのCO2分子の完全な回転が立体障害され、その代わりに、90°回転することによって、秒当たり106ステップの速度でCO2分子が、ある吸着部位から次の吸着部位へネジに似た方法で移動し得ることを見いだしている。