Research Highlights
機能材料:極薄の結晶膜を作る
Nature Nanotechnology 2018, 318 doi: 10.1038/s41565-018-0098-y
品質の高い大面積の2D有機単結晶の低温成長は、安価で収率の高い有機ナノ電子デバイスや回路の開発に不可欠である。しかし、大面積の極薄有機単結晶が最近いくつか実証されているにもかかわらず、ウエハースケールの単層シートの実現はこれまで報告されていない。今回、山村祥史たちは、確立された低温製造技術を用いて、高速電子回路向けの均一な高移動度有機半導体の大面積化をさらに促進し得る簡単な成長方法を示している。
連続エッジキャスト法とも呼ばれるメニスカス駆動型の溶液法によって、C8-DNBT-NWの有機結晶膜が、最適化された基板温度とせん断速度で作製された。この方法では、ワンショット成長処理時に2つのパラメーターを制御するだけで、得られる膜の厚さを、単層や2層から数層まで精密に調整できる。著者たちは、得られた結晶膜のサイズが大きいことを利用して、総合的な性能が均一な数百個のトランジスターを実証している。作製された膜の高い品質は、13 cm2 V−1 s−1というチャネルキャリア移動度、高いスイッチング速度、低電圧動作を示す最高性能の2層トランジスターによってさらに例証されている。