Research Highlights
二酸化炭素の還元:可逆的な形態
Nature Nanotechnology 2018, 318 doi: 10.1038/s41565-018-0101-7
二酸化炭素からメタンへの電極触媒還元は、温室効果ガス濃度を低下させ、燃料を持続的に生成できる可能性がある経路の1つであるが、メタンだけでなく部分的に還元された数種の化合物が生成されることがあるので、触媒するのが困難な反応である。そのため、CO2からCH4への変換に有効な触媒を設計するには、反応条件の深い機構的理解が必要である。最近、Cu(II)フタロシアニン錯体が、魅力的な活性と選択性を示すことが明らかになった。Wengたちは今回、この錯体の形態の変化が、記録された高い活性の原因であることを示すin situ研究について報告している。
著者たちは、電気化学ポテンシャルを、開路電圧(約0.80 V)と触媒活性が最大になる電圧(−1.06 V)の間で変化させて、X線吸収分光を行った。その結果、Cu(I)のピークが現れ、次にCu(0)のピークが現れることが観測された。このピークは、電気化学ポテンシャルを還元性の低い条件に戻すと消失した。形態学的分析と理論計算によって、−1.06 VにおいてCu–Cu金属結合が存在し、約2 nmのCuクラスターが形成されることが示されている。こうしたクラスターは、フタロシアニン配位子によって安定化されていると思われる。従って、Wengたちは、この銅錯体の優れた触媒性能は、Cu(0)クラスターの可逆的な形成に起因すると結論付けている。