Research Highlights

異方性ナノウッド:スケーラブルな断熱材

Nature Nanotechnology 2018, 418 doi: 10.1038/s41565-018-0127-x

断熱材は、さまざまな実用的用途に望ましいものである。そうした材料の中で、ナノセルロースは、豊富に存在し環境に負担をかけないので、注目されている。しかし、異方性ナノセルロース複合材料が優れた断熱材になり得ることは分かっているが、機械的性質が劣っているため、大規模には利用されていない。Liたちは今回、自然に整列したセルロースナノフィブリルでできた、スケーラブルで異方性があり、軽くて強度が高くかつ極めて断熱性に優れたナノウッドを報告している。

著者たちは、天然木を加熱して化学処理してから凍結乾燥することによって、ナノウッドを作った。形成されたナノウッドは、階層的に整列したセルロースナノフィブリル凝集体からなっていて、メソ多孔性で、間隙率が91%程度であり、表面積対体積率が大きくアスペクト比が高い。このナノウッドは軽いが、既存の断熱材より機械的強度がはるかに高い。これは、セルロースフィブリル間の結合に起因していると思われる。さらに、このナノウッドは放射率が低く、太陽熱エネルギーの95%を反射できる。また、このナノウッドの異方特性は、異方的な熱流をもたらし、軸方向の熱伝導率が、横方向の熱伝導率の2倍になる。その結果、軸方向の熱散逸が横方向より速くなり、横方向の断熱性がさらに向上する。著者たちは、上面を太陽シミュレーターで加熱すると、ナノウッドの裏側がシリコンエアロゲルより27° C低くなることを見いだしている。

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