Research Highlights
炭素–水デバイス:静水からエネルギーを得る
Nature Nanotechnology 2018, 518 doi: 10.1038/s41565-018-0154-7
水による環境発電は、この天然資源が豊富で持続可能であるため非常に興味深い。しかし、流水は、大量の電力を生み出すのにエネルギー変換器が必要なことが多い。今回、Pengたちは、静止した純水から効率よく電力を取り出せる炭素材料に基づく発電システムについて報告している。
まず、酸素マイクロプラズマ処理によって、酸素によって調整されたカーボンナノチューブ(OCNT)の糸が作られた。この酸素によって調整されたsp2混成炭素系は、未処理のCNT(PCNT)の糸よりも強い表面分極を示すことが、X線吸収を調べて立証された。次に、OCNTの糸とPCNTの糸をつないで、静水中に沈めた。このデバイスは電池のように働き、OCNTの糸がカソード、PCNTの糸がアノード、純水が電解質の機能を果たす。このデバイスでは、最大数百ミリボルトの開路電圧が生じ、閉路放電電流がマイクロアンペアレベルに達した。興味深いことに、この「電池」は、再充電可能で、開路電圧に影響を及ぼさずに繰り返しオンオフできる。さらに、今回実証したエネルギー発生器は、個人用電子機器に電力を供給できた。