Research Highlights
量子物理学:回転するスピン
Nature Nanotechnology 2018, 618 doi: 10.1038/s41565-018-0174-3
量子系を高い周波数で回転させると、回転によって生じる幾何学的位相、ひずみ場、磁場などの量子力学の基本的な側面を調べる機会が得られる。しかし、回転座標系にある単一の量子系の初期化、制御、読み出しは困難である。今回Woodたちは、高い周波数で回転するダイヤモンドの単一の窒素–空孔(NV)中心を調べ、スピンエコー干渉法を用いて、スピンキュービットの20万rpmの回転によって生じるゼーマンシフトの変化を検出している。
著者たちは、高速回転時の単一NV中心を観測するため、ダイヤモンドをモーターの回転子に取り付け、それをマイクロ波ワイヤーとともに共焦点走査型顕微鏡の中に挿入した。次に、ストロボスコープに似た実験を行うために、スピンキュービットのレーザーによる初期化、マイクロ波パルスを用いた操作、キュービットの回転の位相を同期させた。原理の証明として、単一NV中心が回転座標系の量子センサーとなる。磁場のわずかにずれによって、回転するスピンキュービットのゼーマン分裂に変化が生じるのである。Woodたちは、スピンエコーパルス列を利用して、有効磁場の変化を測定し、回転軸に対する磁場のずれを決定した。