Research Highlights

2D磁性:ミルフィーユのようなメモリー

Nature Nanotechnology 2018, 618 doi: 10.1038/s41565-018-0175-2

磁気抵抗メモリー(MRAM)は、消費電力を低くできる見込みがあるとともに、メモリーセルの高密度化が続いているため、予測できるほど近い将来にメモリー技術における主要なタイプになる可能性がある。三ヨウ化クロム(CrI3)において最近発見された2D磁性は、この目的のために原子レベルで薄い磁性デバイスを実現する機会もたらしている。今回Songたちは、この点をさらに例証するため、2D磁性絶縁体CrI3に基づく多層のスピンフィルター磁気トンネル接合(sf-MTJ)における、層数に依存するトンネル磁気抵抗(TMR)について報告している。

提案されたファンデルワールスsf-MTJデバイスは、数層のグラフェンや六方晶窒化ホウ素に挟まれた2層、3層、4層のCrI3のトンネル障壁からなる。どの場合でもCrI3は、構成層のスピン配向を磁場によって調節できるスピンフィルターとなり、複雑さが厚さに依存する多重磁性状態が生じる。sf-MTJにおけるトンネル電流は、CrI3の正味のスピン偏極に極めて敏感で、磁化が完全に整列した試料において大きく増強されうる。この効果は、4層CrI3において特に著しく、2 Kにおいて9 Tの磁場で最大1万9000%のTMRを示す。

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