Research Highlights
磁気共鳴画像化法:リチウム電池の診断
Nature Nanotechnology 2018, 618 doi: 10.1038/s41565-018-0176-1
磁気共鳴画像化法(MRI)は、広く知られている診断用の医用画像化法である。しかし、電池の特性評価におけるMRIの応用は、MRIが無線周波数の透過に依存しているため大きく制約されており、市販の電池の導電性筐体によって容易に妨げられる。今回Jerschowたちは、MRIを利用して、再充電可能なリチウムイオン電池の充電状態と欠陥を、分解する必要なく非破壊的に識別している。
これは、誘起された小さな永久磁場を、磁気共鳴法を用いて測定することによって実現された。磁化率χは材料に依存し、充放電サイクルにおけるアノード材料とカソード材料の酸化状態の変動に起因して変化する。著者たちは、数サイクルにわたって磁場分布の発展をマッピングした。そして、磁場の変化と充電レベルを一致させることによって、磁化率と充電状態に関する情報を得ることができた。MRIは、リチウムイオン電池の状態を経時的に調べるだけでなく、電池の品質を評価することもできる。MRIは非常に感度が高いので、欠陥を特定するだけでなく、電池構造の再現性を調べることもできるのである。今回の充電残量と電池の健全性を診断するMRI法は、製造工程で役立つ可能性がある。