Research Highlights
環境ナノテクノロジー:小さなプラスチック粒子を調べる
Nature Nanotechnology 2018, 718 doi: 10.1038/s41565-018-0213-0
マイクロプラスチック(サイズが5 mm以下のプラスチックの粒子)による汚染は、さまざまな生態系に深刻な脅威をもたらしている。サイズが数十から数百ナノメートルのナノプラスチックは毒性が高いので、こうしたナノプラスチックを見分けることが重要である。しかし、ナノプラスチックは検出が難しいため、その濃度、サイズ、組成を見積もるのは困難である。一般的に言って、すべてのサイズのプラスチック粒子を特定し分類するのに用いる方法については、必ずしも意見が一致していないと思われる。
今回Mintenigたちは、マイクロプラスチックとナノプラスチックの両方を分析する一般的な枠組みを提案している。この枠組みは、粒子密度を検出するのに十分高くするサンプリングステップ、サイジングステップ、粒子内のポリマーの種類を確定する同定ステップからなる。20 μm以上の粒子については、この3つステップ全てに一般的な方法を利用できる。著者たちは、より小さな粒子に対して、透析医療に使われる手法である公差流限外ろ過法をサンプリングに提案している。さらに、非対称流フィールドフローフラクショネーションをサイジングに利用でき、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を用いて組成を特定できる。
サイズが50 nm程度の既知のナノ粒子を用いて、この3つのステップが試された。いくつか改善すべき点はあるが、今回の結果は、幅広いサイズのプラスチック粒子を定量し分析する一般的な方法として、提案された枠組みを実際に利用できる可能性があることを示している。