Research Highlights

量子技術:1個の光子で3つのキュービット

Nature Nanotechnology 2018, 818 doi: 10.1038/s41565-018-0240-x

量子コンピューターの能力は、一次的にはエンタングルしたキュービットの数によって決まる。従って、この数を増やすことが量子技術の分野における重要な課題である。光子には、偏光、位置、軌道角運動量などの独立した特性がいくつかあるため、特別なキュービットであり、こうした自由度の全てが、量子情報のエンコードに利用できる。そのため、いわゆるハイパーエンタングルメント、つまり複数の光子と複数の自由度の同時エンタングルメントによって、利用できるキュービットの数を粒子の数を超えて増やすことができる。しかし、3つ以上の自由度では実現されていなかった。今回Wangたちは、6個の光子の3つの自由度をエンタングルし、18キュービットのアンサンブルを制御できたことを示している。

著者たちは、独立したキュービットとして、経路、偏光、軌道角運動量を使用した。彼らは、複数のビームスプリッターと30個の単一光子干渉計を含む光学系を用いて、6個の光子全ての独立した3つの特性をコヒーレントに制御し、エンタングルしている。次に、48個の単一光子検出器を用いて、起こり得る結果の218組の組み合わせが識別された。測定された状態忠実度が0.7であることから、18個全てのキュービットのエンタングルメントが実証され、この方法によって光量子情報処理の能力を拡大できる可能性が示された。

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