Research Highlights

ナノエレクトロニクス:熱放出

Nature Nanotechnology 2018, 818 doi: 10.1038/s41565-018-0241-9

数十年の間、熱管理は電子デバイスや電子回路の設計における深刻な工学的障害であった。急速なトランジスターサイズの縮小によって、過剰な熱の問題はナノスケールへ広がっており、効率の良い放熱のための新材料の開発が求められている。今回S Kangたちは、最近の理論予測に基づいて、最もよく知られている熱伝導体に比肩する熱伝導率を示す、欠陥のない単一結晶ヒ化ホウ素(BA)を実験的に得た。

構造解析を行って、合成されたBAの単結晶性と閃亜鉛鉱型結晶構造が明らかになった。次に著者たちは、超高速光ポンププローブ分光法を用いて、BAの熱輸送特性を調べ、その結果とダイヤモンドや立方晶窒化ホウ素の試料について行った同様の測定結果を比較した。こうした測定結果から、BA結晶を含む調べた全ての試料で弾道輸送が裏付けられ、BA結晶の熱伝導率は室温で1300 W mK−1であり、全ての既知のバルク材料の中で2番目に高いことが示された。今回の報告では、この結晶の効率の良い熱伝導は、BAの特異なフォノンバンド構造によってフォノンの平均自由工程が増大したことに起因するとしている。

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