Research Highlights
原子撮像:雑音を通して原子を見る
Nature Nanotechnology 2018, 918 doi: 10.1038/s41565-018-0263-3
収差補正した走査型透過電子顕微鏡(STEM)は、サブオングストロームの分解能で原子配列をマッピングできる。しかし、ナノ材料の多くは、高エネルギー電子の影響を受けやすく、照射できる電子線量が限定されている。そのため、画像のコントラストが小さくなり、原子構造の明確な決定が妨げられている。今回J Fatermansたちは、雑音が多くコントラストの小さい電子顕微鏡画像において単一原子のより確実で偏りのない検出を可能にする、先進的なフィッティング手順を提案している。
著者たちは、既知のモデルフィッティングと先進的な統計的選択法を組み合わせて、原子スケールの系のSTEM画像に適用している。このフィッティング手順は、STEM画像の原子コラムのコントラストを一定のバックグラウンドの上のガウス関数で近似する。次に、画素強度に基づいて特定の数の原子コラムの確率を決定してこの画像を生成する、確率規則の近似解析を実行する。その結果、原子列の数と位置がさまざまな一連の配置と、それぞれの配置の確率が得られる。この方法は、従来のピークフィッティング法より信頼性が高く、目視観察の偏りを回避し、別の配置と比べたある原子配置の尤度が得られる。