Research Highlights

合成生物学プラットフォーム:微生物相の研究を促進する

Nature Nanotechnology 2018, 918 doi: 10.1038/s41565-018-0266-0

腸内微生物相は、ヒトの健康や疾患と大きく関連しているため、幅広い注目を集めている。次世代のディープシーケンシングは、バイオインフォマティクスと組み合わせて、微生物相の作用機序の研究に広く用いられている。しかし、こうした手法は、費用がかかり、遅くて複雑である。今回Collinsたちは、彼らが開発したずっと安価で要求によりよく対応できる簡単な紙ベースの合成生物学プラットフォームの利用法を、複雑な生物試料における微生物とその宿主のRNAの分析に拡張したことを報告している。

この検出プラットフォームは、核酸配列ベース増幅とRNAを使うtoehold switchを介した検出という2つの重要なステップを含んでいる。著者たちは、16SリボソームRNAの検出による細菌種の同定は、関連する細菌種の間で大きなクロストークが生じるためここでは機能せず、それがトリガーRNA配列の類似性に起因している可能性があることを見いだしている。彼らは、この特異性の問題に取り組むため、バイオインフォマティクス分析を行い、微生物相研究に関連する10種の細菌の種に固有なmRNAを特定した。そして、単一の基準に対して正規化することで、標的のRNAを上述の2ステップで半定量的に測定できた。この結果は、炎症性腸疾患(IBD)の患者から得られた糞便サンプルで確認され、微生物とその宿主のmRNA濃度の測定結果は逆転写qPCR法の結果とよく相関していた。

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