Research Highlights
2D材料:エッジ状態の緩和
Nature Nanotechnology 2019, 219 doi: 10.1038/s41565-019-0388-z
グラフェン量子ドット(GQD)は、ナノカーボン材料群に比較的最近加わったもので、調整できる有利なオプトエレクトロニクス特性を多数持っている。しかし、GQDには形成時に必然的に生じる局在化したエッジ状態があるため、電荷輸送が悪影響を受ける。さらに、接触抵抗を再現できるトンネル接合をGQDに作るのは困難である。今回G Kimたちは、面内ヘテロ構造と垂直ヘテロ構造を組み合わせて用いて、垂直単一電子トンネルトランジスターを作り、こうした問題を回避する方法を示している。
著者たちは、触媒を用いてホウ素原子と窒素原子を炭素で置換して、六方晶窒化ホウ素(hBN)基質の内部に埋め込まれた白金ナノ粒子アレイの上にGQDを合成した。このGQD/hBN層は、2層の薄いhBN層に挟まれていて、量子ドットを接合部から分離している。そのため、電子の寿命が確実に長くなり、局在状態の数が減る。次に、GQD/hBN構造にグラフェン電極を被せて、マルチチャネル単一電子トンネルトランジスターを作った。そして、トンネル分光法を用いて行った微分コンダクタンス測定によって、特定の1つのGQDのクーロン閉塞領域を起源とする複数のクーロンダイヤモンドが観測されることが明らかになった。