Research Highlights

トポロジカル物質:グラフェンのスピン–軌道ギャップ

Nature Nanotechnology 2019, 319 doi: 10.1038/s41565-019-0409-y

一般にグラフェンは、ブリルアンゾーンのK点とK’点にディラック型バンド分散があるゼロギャップ半導体であると考えられている。しかし低温では、スピン軌道相互作用によってバルクに小さなバンドギャップが開くはずである。従って、試料のエッジだけに、K点の電子バンド(正孔バンド)とK’点の正孔バンド(電子バンド)をつなぐスピン分極バンドがあると思われる。今回Sichauたちは、予測されるグラフェンのトポロジカルに非自明な状態の証拠を報告している。

著者たちは、外来的なスピン軌道結合の源を最小にするグラフェンデバイスを作った。次に、マイクロ波を印加し、励起周波数の関数として、試料の抵抗を磁場中で測定した。この電子スピン共鳴(ESR)実験では、スピンが逆の担体を結合する遷移のマイクロ波共鳴励起によって、試料の抵抗が変化した。ゼロ磁場では遷移が許されないが、Sichauたちは、高磁場で2つのESR線を検出した。この2つのESR線の周波数差は、スピン–軌道結合によって生じたエネルギーギャップ(42.2 μev)に相当し、いくつかの初期の理論予測と一致している。

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