Research Highlights

磁気光学:角運動量を持つ光

Nature Nanotechnology 2019, 719 doi: 10.1038/s41565-019-0508-9

円偏光、つまりスピン角運動量を持つ光は、円二色性と呼ばれる効果を通して凝縮物質系の磁性をプローブできる。スピン角運動量に加えて軌道角運動量を持つ光は、いわゆる渦ビームを形成する。Sirenkoたちは今回、テラヘルツ周波数のそうした渦ビームを用いて、フェリ磁性の希土類鉄ガーネットにおける磁気励起を検出するとともに、予想される円二色性に加えて軌道角運動量に依存する二色性も観測している。

著者たちは、軌道角運動量が反対の渦ビームをこの透明な結晶に当て、透過率を測定した。彼らは、希土類と鉄のスピンの歳差運動に関連する配位子場モードの集団励起を観測し、渦ビームの軌道角運動量に対する信号強度の依存性を検出した。興味深いことに、渦ビームの二色性は、同様に著者たちが測定した円二色性よりはっきりしていた。こうした実験結果は、複雑な磁性材料の探究や、磁気組織に対するスピンと軌道の寄与の区別のための渦ビームの可能性を示している。

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