Research Highlights
2D物質:ねじれの理解
Nature Nanotechnology 2019, 719 doi: 10.1038/s41565-019-0510-2
層間回転、つまり2枚の単層の相互のねじれは、2D物質の層状構造体によく見られ、その結果モアレパターンが形成される。興味深いことに、ほんの少しの回転が、その結果生じた物質系の電子特性に大きく影響する可能性がある。しかし、さまざまなねじれ角の生成を支配しているのは何なのか、物質特性をこの過程を制御することで調節できるかどうかはまだよく分かっていない。今回Zhuたちは、2層のMoS2とグラフェンをモデル系として用いて、モアレに駆動される一般的機構を提案して、2D層の層間回転を説明している。
回転挙動を予測するために、著者たちは、界面格子モデルと分子動力学シミュレーションを利用した。界面格子モデルは、相対的な層回転は界面における2枚の原子層の相互作用に支配されているという仮説に基づいていて、界面エネルギーと回転角度の関係だけでなく、薄片のサイズの影響も考慮に入れている。この解析によって、層間回転は、薄片のサイズにかかわらず、2D物質に普遍的な界面の格子モアレによって駆動されることが示された。一般的に、六方格子の2層の間でモアレパターンが形成される場合、エネルギーの高い積層ドメインから三角形配列が現れ、エネルギーの低いドメインでは六角形配列が形成される。どちらの場合も、有限サイズの領域内において、結果として生じた回転によってドメインの全エネルギーが最小になる。