Research Highlights

機械学習:実験データの識別

Nature Nanotechnology 2019, 819 doi: 10.1038/s41565-019-0528-5

我々人間は、ぼやけた画像であってもかなりうまく顔を認識できるが、複雑で雑音の多いデータの画像における相関や秩序は検出できそうにないと思われる。フーリエ解析が役立つことは多いが、乱れが大き過ぎれば、これもうまくいかない。今回Zhangたちは、高温超伝導体や量子スピン液体などの、従来の方法では解明できない電子量子材料の実験データにある隠れた秩序を、人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いた機械学習によってどのように識別できるか実証している。

著者たちは、キャリアドープ銅酸化物モット絶縁体試料の走査型トンネル電子顕微鏡実験で得られた一連の微分コンダクタンスマップを分析した。そうした試料の原子スケールでの大きな乱れは、電子密度の周期的変動の認識や量子状態の特定を妨げることが多い。まずZhangたちは、結晶の原子格子と対応していたりしていなかったりするさまざまな秩序を示すが、乱れや欠陥を含む合成画像でANNを訓練した。次に、ドーピングレベルの異なるいくつかの試料の一連の実験画像を、ANNに識別させた。その結果、機械学習アルゴリズムが、格子に対応し対称性を破る秩序を認識したことから、このモット絶縁体を記述する複数の競合する理論モデルを区別する実験的証拠が得られた。

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