Research Highlights

2Dペロブスカイト:端を流れる電流

Nature Nanotechnology 2019, 819 doi: 10.1038/s41565-019-0529-4

二次元(2D)ハライドペロブスカイトは、光安定性が高いため、ペロブスカイト・オプトエレクトロニクスの分野に影響を及ぼすと考えられている。典型的な多重量子井戸(MQW)構造を形成する2Dペロブスカイトでは、強い量子閉じ込め効果の存在が、この物質系の電荷輸送や光物理に大きな影響を与える。今回Wangたちは、こうした現象に関する切望されていたさらなる知見を得るために、2Dペロブスカイト・ヘテロ積層の端を調べている。

著者たちは、単結晶MQWペロブスカイト薄膜を合成し、電流検出型原子間力顕微鏡によってその最上層の特性を評価している。その結果、試料の大半のテラス領域が絶縁特性を示すのに対して、層端の輪郭に沿って意外に大きな電流が検出された。鋭い層端における電流の増大は、端状態に存在する自由電荷キャリアに起因している可能性がある。走査型電子顕微鏡、共焦点ラマン測定、フォトルミネッセンス測定によって、観測された特徴の原因が、端にある化学物質や表面電荷の蓄積であるとすることはできず、実際に端に固有のものであることが確かめられた。さらに、この電流は、光照射に敏感ではなく、走査方向に応じて極性が変わり、金属に似たキャリア密度を特徴としていた。

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