モルフォ（Morpho）チョウの翅の鱗粉は高選択性蒸気応答を示す

熱帯のモルフォ（Morpho）チョウは、光沢のある鮮やかな色をしていることで有名である。この色は、翅の上に規則正しく配列した鱗粉から作り出されている。今回我々は、Morpho sulkowskyiチョウの光沢のある鱗粉が各種の蒸気に対してそれぞれ異なる光学応答を示すこと、並びに、この光学応答がナノテクノロジーを利用して作られた既存のフォトニックセンサーのそれよりはるかに優れていることを示す。鱗粉の反射スペクトルから、蒸気の種類と濃度に関する情報が得られる。そのため、個別に分析すれば、水、メタノール、エタノールおよびジクロロエチレン異性体といった、一連のよく似た蒸気を識別することが可能となる。我々は、各種の蒸気について時間の関数として測定した反射率を比較することで、空間周期性を異にする鱗粉構造をもつ翅の領域のそれぞれが、異なる波長で全体のスペクトル応答に寄与していると推測した。我々の光学モデルは、翅の鱗粉の各構成要素が蒸気応答に及ぼす影響について説明しており、人工の新しい光学的ガスセンサーの設計の方向性を決めることになるかもしれない