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共振器内差周波発生を利用したテラヘルツ量子カスケードレーザー光源
Nature Photonics 1, 5 doi: 10.1038/nphoton.2007.70
テラヘルツスペクトル領域(λ=30~300 µm)には、電気励起による小型室温半導体光源が長い間なかった。最近のテラヘルツ量子カスケードレーザーの進歩にもかかわらず、既存デバイスには依然として極低温冷却が必要である。別のテラヘルツ放射発生方法として、赤外または可視ポンプレーザーを用いた非線形光学結晶における周波数下方変換がある。この方法は、幅広いスペクトル調整が可能であり、室温で利用できる。しかし、強力なレーザーポンプとより複雑な光学装置が必要なため、大きくて扱いにくい光源となる。今回我々は、電気励起半導体レーザーと非線形光源の長所を兼ね備えるよう設計したモノリシック集積型デバイスについて示す。我々のデバイスは、結合量子井戸のサブバンド間遷移に伴い巨大な二次非線形感受率をもつよう活性領域を設計した二波長量子カスケードレーザーである。このレーザーはλ1=7.6 µmおよびλ2=8.7 µmで動作し、共振器内差周波発生によってλ=60 µmのテラヘルツ波を発振する。