In This Issue テラヘルツ光の進展 2007年7月1日 Nature Photonics 1, 7 doi: 10.1038/JnphotonInThisIssue57524 量子カスケードレーザーは、小型固体テラヘルツ光源向けとして有望な技術である。注入された電子は半導体積層膜を通り、ボールが階段を転がり落ちるようにエネルギーを徐々に失いながら、長波長光子を放出する。これらのデバイスによく使用されるのがGaAs半導体である。今回S Dhillonらは、GaAsの非線形光学特性を利用して、テラヘルツ光と1.3~1.6 μmという通信波長のレーザービームを混合できるデバイスを作製した。そのような光波混合はマイクロ波フォトニクス分野では既に重要技術となっており、それによりテラヘルツ放射の主要特性(波長、位相、振幅)を長距離にわたって伝送できる。長波長では水による吸収が非常に強いため、これを自由空間で実現することは困難である。遠端でのテラヘルツ光の再現に逆のプロセスが利用できるかもしれない。Dhillonらが作製したデバイスは、テラヘルツ光源、非線形材料、必要な導波路を組み合わせて単一の小型構造体にしたものであり、テラヘルツ光の新しい操作方法の可能性を開くものである。 Full text PDF 目次へ戻る