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金属ナノ粒子表面における単層未満の被覆率の分子の光吸収の変化

Nature Photonics 10, 1 doi: 10.1038/nphoton.2015.205

金属ナノ構造体近傍の分子の光吸収を増大させることは、多くの表面増強分光法の要であるとともに、プラズモニクスやナノ光学の分野において一般的な興味を大いに引くものである。しかし、こうした吸収の実験的測定が困難であることはかなり以前から分かっていた。今回我々は、銀ナノ球表面に単層未満の濃度で吸着させた色素分子の表面吸収を直接測定したことを報告する。重要なのは、色素同士の相互作用が無視できる単層未満の濃度で測定したことである。プラズモン共鳴から大きく離調させると、分子共鳴が明確にシフトし広がったことから、銀コロイドと接触した色素に固有の特性が明らかになった。この結果は、数多く研究されてきた、色素分子の光学特性を分離できない強結合領域とは対照的である。こうしたシフトが観測されたことは、シフトを所定の方法で測定できることとあわせて、表面増強分光法やさまざまな分子プラズモニクス現象などの金属表面の共鳴分子が関与する実験の解釈に広く影響を及ぼす。

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