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単一サイクルテラヘルツ電場による単一トンネル接合における電子の実空間コヒーレント操作

Nature Photonics 10, 12 doi: 10.1038/nphoton.2016.205

波形制御レーザーパルスを用いる電子の超高速コヒーレント操作は、現代のエレクトロニクス開発における主要課題である。トンネル接合向けにそうした電子操作法を開発すれば、さらに小さいスケールで超高速電流を制御する新しいプラットフォームが得られると思われる。こうしたプラットフォームは、次世代量子ナノ回路やプラズモニックデバイスの進歩に不可欠である。今回我々は、キャリアエンベロープ位相制御した単一サイクルテラヘルツ電場によって、ナノ探針から試料へまたは試料からナノ探針への電子トンネリングをコヒーレントに駆動できることを実証している。空間的に閉じ込められた10 V nm–1を超える電場が、走査トンネル顕微鏡(STM)のナノギャップのポテンシャル障壁をサブピコ秒の時間スケールで強く変調するため、極めて非線形な領域で多数の電子を操作できる。こうした操作は、従来のSTMでは実現不可能である。今回の結果は、将来のナノスケール科学技術の進展に道を開くと予想される。

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