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超短強レーザー場によって駆動される励起Heにおけるフェムト秒2光子ラビ振動
Nature Photonics 10, 2 doi: 10.1038/nphoton.2015.228
コヒーレントな光–物質相互作用から、量子系を操作する強力な方法が得られる。ラビ振動は、そうした過程の1つで、目的状態への完全なポピュレーション移動を可能にするので、フォトニクス、特に量子情報処理でさまざまな用途によく利用されている。コヒーレント制御技術を多光子領域に拡張することによって、応用の幅が広がり、高励起遷移状態や双極子禁制遷移状態を利用する機会が得られる。しかし、多光子ラビ過程は、特に超高速ラビ振動の実現に必要な強度の高いレーザー場では、ACシュタルクシフトなどの競合する他の非線形効果によって妨げられることが多い。今回我々は、フリーマン共鳴と呼ばれる強レーザー場における現象を利用することによって、数十フェムト秒という短い時間スケールで2光子ラビ振動を駆動する新しい方法を実証している。このシナリオは、本研究で調べたヘリウム原子に限定されず、他の系にも広く応用できるため、リュードベリ状態の超高速操作の新たな可能性を開くものである。