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有機無機ハロゲン化鉛ペロブスカイトのレーザー冷却

Nature Photonics 10, 2 doi: 10.1038/nphoton.2015.243

適切なエネルギーの光照射は、固体を冷却できる。この現象は光学冷却と呼ばれ、1929年に初めて提案され、1995年にイッテルビウムをドープしたガラスで実験的に実現された。それ以来、さまざまな希土類元素をドープした材料でかなりの進歩があり、最近の記録では、周囲温度から91 Kまで直接冷却している。光学冷却を実際に利用し、将来の応用に適合させるには、合成が容易でスケーラブルであり、冷却パワー密度が高い物質を発見する必要がある。今回我々は、マイクロメートル厚の三次元CH3NH3PbI3(MAPbI3)ペロブスカイト結晶では正味で23.0 Kの冷却を、剥離した二次元(C6H5C2H4NH3)2PbI4(PhEPbI4)ペロブスカイト結晶では正味で58.7 Kの冷却を室温から直接実現したことを報告する。我々は、正味のレーザー冷却の実現に関与する特性である、強いフォトルミネセンスアップコンバージョンと、1に近い外部量子効率を、こうしたペロブスカイト結晶が示すことを見いだした。今回の知見は、溶液処理で作成されるペロブスカイト薄膜が、集積光冷却デバイスの構築に非常に適した候補材料になる可能性があることを示している。

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