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90 MHzフレームレートのシングルショット分光法でフェムト秒モードロッキングのビルドアップを分解する
Nature Photonics 10, 5 doi: 10.1038/nphoton.2016.38
アト秒時間領域分光法から周波数コムによる計測まで、これまでに行われた最も精密な測定の中には、モードロックレーザーによって可能になったものがある。しかし、そうした極端な精度には、基礎となるモードロッキング・ダイナミクスの複雑さが隠れている。この複雑さは、本質的に特異な非反復的遷移であるモードロック状態の出現において特に顕著である。モードロッキングの詳細の多くは十分理解されているが、従来の分光法では、単一パルス周期というナノ秒の自然な時間スケールで、受動的モードロッキングにおける初期のダイナミクスを分解できない。今回我々は、フェムト秒パルス列のパルス分解スペクトル発展を初期の揺らぎから捉え、連続して約90万周期にわたって記録している。我々は、広帯域スペクトルの出現、付随する波長シフト、補助パルスモードロッキングとして表される過渡的干渉ダイナミクスなど、数十から数千往復の時間スケールで臨界現象を直接観測している。今回の結果は、時間伸張変換によって可能になったものであり、レーザー設計、超高速診断法、非線形光学に影響を及ぼす可能性がある。