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メチルアンモニウム三臭化鉛ペロブスカイト単結晶でできた高感度X線検出器
Nature Photonics 10, 5 doi: 10.1038/nphoton.2016.41
ハイブリッドペロブスカイト単結晶は、移動度が高くてキャリア寿命が長く、Pb、I、Brの原子番号が大きいため、X線やγ線の検出に理想的である。本論文では、メチルアンモニウム三臭化鉛ペロブスカイト単結晶でできた高感度のX線検出器を報告する。バルクの欠陥を減らし、表面トラップを不活性化することによって1.2 × 10-2 cm2 V-1という過去最高の移動度と寿命の積と、64 cm s-1という極めて低い表面電荷再結合速度が実現された。厚さが2~3 mmの単結晶デバイスは、50 keVまでの連続X線エネルギーの照射下において、ゼロに近いバイアスで16.4%の検出効率を示した。検出可能な最低X線線量率は0.5 µGyair s-1であり、感度は、α-Se X線検出器で得られる感度より4倍高い80 µC Gyair-1 cm-2であった。これによって、医療や保安検査への多くの応用において人体の被爆線量を減らすことができる。